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  • 執筆者の写真江川誠一

血潮の戯事ー献血キャンペーンー

献血は利他的な個人の行為であり、利己的なヒト遺伝子の成功率を高めるかもしれない。

話題の献血ポスターは、特定の個人の表面的な利他性にポジティブに働くであろう。

ただし、そこに持続性があるかどうかと、そうではない個人の利他性に対してニュートラルなのかそれともネガティブに働くかが問題だ。

好きでもないアイドルのクリアファイルや、等身大パネルとのチェキの写真をもらったことのある私にとって、このポスターに驚きはなく全くのニュートラルである。

興味があるのは若者がこれをどう受け止めているかである。

毎月献血していると、受入方針とそれに伴う体制、手順、広報、そしておもてなしやお土産等の漸進的変化を感じる。

詳細を調べるまでもなく、安全確保の厳格化と経費節減が同時進行しているとともに、血液不足の深刻化が類推できる。

手順煩雑化が進む一方で、献血のお土産の箱ティッシュや洗剤の量が減り、献血中に観られるテレビが地上波だけになり、受付時間の拡大や求められる献血種別の変更等から、血を求めている様子がひしひしと感じられる。

データを見ると、我が国の献血システムにとって問題なのは、若者の献血率の低下のようだ。

これについては高校献血の実施率の低下が主要因であり、その効果的な対策は見出せない。

若い時の献血体験が、その後の継続的献血に結び付く可能性が指摘されている。

学校外で若年層にきっかけを提供しようと、苦しい台所事情のなか日赤は様々な試行錯誤をしているように思う。

体重や血の濃さ等に性差があるため、ターゲットとして男性が優先され、中でも若年層が上述の理由から狙い目となる。

そしてアニメキャラやアイドルでマニア層を引っ張ってくるようなプロモーションが、どうやら費用対効果が高いようだ。

現代の献血キャンペーンは、万人受けするものよりも特定マニアにピンポイントでささるもののほうが効果的なのかもしれない。

夏目雅子や本田美奈子1世代が引くような環境になりつつあるが、献血マニアはひるまない。

お察しいただけると思うが、私は献血マニアとして一言言いたかっただけである。

話題の一件に対する根幹的理解と多面的評価は他の方にお譲りする。

今後はただひたすら献血できるうちにそれを続け、3桁回数を目指すのみである。

注1:献血ではなく骨髄移植の象徴的なキャンペーンで採用されている

(アスリックニュース2019年11月号で執筆したコラムの転載)

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