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執筆者の写真江川誠一

パラレルワーカーな日々⑩コミュニティデビュー

(本ブログはアスリックニュース2023年11月号からの転載である。)


今年の3月末からスタートした、我が家のシェアハウス事業。

9月末にシェアハウス側にバス、トイレ、キッチンが付いた。

現在2名の学生が住んでいるが、リノベーションの完成とともに、私のプライベートゾーンが確保され、この半年のカオスから解放された。


我が家は田園に囲まれた小さな集落に立地している。

45戸の世帯と鎮守の杜から構成される集落である。

少なくとも私の記憶にある約50年間で、田んぼは区画整理され、用水路がパイプラインになり、取り付け道路が立派に整備されたが、空き家がちらほら増えたこと以外、基本的な形はほぼ変わっていない。


一方で、集落の住民のライフスタイルは大きく変貌している。

各戸には自家用車が並び、専業農家は数えるほどに激減した。

しかしながら集落の様々な行事や決め事は、田んぼの共同管理システムやスケジュールに準拠したまま、過去のやり方を踏襲している。


そこに、我が家のシェアハウスに住む若者が注入された。

農村集落コミュニティにとってはノイズである。

様々な軋轢が生じることが、容易に想像できた。

私はそういうことをあまり気にせずにいられる方ではあるが、できればうまくやりたいし、若者にも気持ちよく住んでもらいたい。

そういうこともあり、神社清掃や秋祭りに彼らを参加させた。



若者を構ってくれる地域住民の存在と、若者自身の社交性のおかげで、軋轢が表面化することはなく、とりあえずはまずまずのスタートを切ったと思う。

掃除中、若者を時代遅れの質問で詰めようとする住民や、上から目線で説教気味に接する住民もいる。

あまりよく思っていない者が集落内にいると、私に教えてくれる方もいる。

直接、苦情を言ってきたものは今のところいない。

逆に、よくぞこのようなところに移住してくれたと絶賛し、集落の活性化に結びつけようとする住民も。

当面、私から特別な仕掛けをすることは考えておらず、もう少しこのまま様子を見守ろうと思っている。


おそらく、現時点で意図的に距離を置く住民と、移住者及び私の考えはなかなか交わることはないだろう。

学び合うことや与え合うことはないかと探す住民と移住者は、自然と互いを認め合うだろう。

既にこの両者のコラボイベントが動き出そうとしている。

心配がなくはないが、なんとかなると楽観している。

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