(本ブログはアスリックニュース2024年1月号からの転載である。)
今年度から大学の授業で、PBL(Project Based Learning、課題探求プロジェクト)に携わっている。
複数の企業や行政と提携し、学生数名から構成される各班はそれぞれの相手先と1〜2年に渡って密に関わっていく。その中で課題を見つけ整理するとともに、解決に向けた提案とその実施、検証を行う。
その過程で、論理的思考や企画力、そして交渉力や表現力等を磨いていく。
担当教員には、授業の全体デザイン、準備段階での企業や行政の前さばきと途中のアドバイス、そしてフォローアップが求められる。
一方で実際に考え、動くのは学生である。
ついつい先回りして干渉したくなる場面が多いが、学生の内発的な考えや動きの発露を待つ勇気が必要である。
そういうのが苦手な私だが、半年を経た頃ぐらいから、学生を信じて任せることができるようになってきたように思う。
PBLを通じて、元々やりたかったことを思い切り深める学生、新たな興味・関心を見出す学生、授業外で相手先と継続して関わっていく学生、卒業後の進路に結びつける学生。 そのような若者をさらに増やしていきたいと思っている。
一方で今年度は、中学や高校の探究活動に接する機会がとても多かった。
活動の中間でアドバイスするケースが1校だけあったが、他は全て最終報告会への参加。
体育館や各教室などで、1回の訪問につき4〜8の班の発表を聞き、一つ一つに質問や感想を述べる役割に加え、全体の講評を行うというものである。
事前にスケジュールとテーマが知らさせるものの、初めて目にする内容と発表に対し、その場ですぐに質問したり良いところや改善点を指摘したりするのは、それなりの緊張感を強いられる。
ましてや相手は大学生ではなく中高生。
成長を後押しし、かつ心に響く言葉のチョイスがより強く求められる。
文部科学省や県教育委員会の方針・施策を受けたものであろうが、具体的な探究活動の枠組みや指導方法には、各校および担当教員による工夫が随所に垣間見えた。
今や中学で既に高いレベルでの探究学習が実施されており、彼らの今後の成長が楽しみであるとともに、大学の探究はもっと高みを目指さないといけないとも感じた1年であった。
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