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執筆者の写真江川誠一

外食・小売★社会経済データからみたコロナ禍④

上場企業の公表資料から、コロナ禍における外食・小売業界の状況を概観してみたい。

データはすべて既存店売上高の対前年同月比である。

なお、2019年10月に消費税率が8%から10%へと引き上げられたことにより、同年9月は需要増、同年10月は需要減が生じたことに留意が必要である。


外食業界は、それぞれの業態の特性によって、コロナ禍における影響が大きく異なる結果となった。

家族や友人等のグループを主要顧客とする「すかいらーく」、「丸亀製麺」、「くら寿司」は、最初の緊急事態宣言下の4月には売上が半減している。

その後、回復基調にあるものの、「すかいらーく」、「丸亀製麺」は一度も前年を超えることなく年末を迎えている。

「くら寿司」は、主にGoToEatのオンライン予約によるキャンペーンにより、10,11月は前年を大きく上回った。

一方で、ドライブスルー等のテイクアウト利用が進んだ「マクドナルド」は、緊急事態宣言下でも好調を維持し、通年でも前年超えを達成している。

個人客が中心の「すき家」では緊急事態宣言下での減少幅を1割程度にとどめるなど、比較的安定した売り上げとなっている。


百貨店は緊急事態宣言によりほぼ休業していたため、「三越伊勢丹」の4,5月は8割減と厳しい状況で、その後も前年を2割程度下回って推移している。

訪日外国人観光客による売上が蒸発したことも大きく影響している。

ドラッグストアは総じてコロナ禍がプラスに働き、「ウェルシア」は2月のマスク等衛生用品に生じたパニック買いを中心に年間を通じて好調だった。

コロナ禍はホームセンター業界にも追い風となり、DIYやアウトドア需要の高まりが生じ、「DCM」は緊急事態宣言後の6月を中心に売上を伸ばしている。

食品等の日用品まとめ買いの傾向が強まったことなどにより、食品スーパーにはややプラス、コンビニエンスストアにはややマイナスの影響が生じた。

「バロー」と「セブンイレブン」の数字にそれが表れている。


「ニトリ」は家具等のおうち需要を取り込み好調であった。

一方で「ビックカメラ+コジマ」は、オンライン対応、東京オリパラ延期などプラスマイナスが混在するなかやや減少となった。


衣料品は緊急事態宣言に伴い需要が半分に落ち込んだが、その後はターゲットによってその回復度合いが異なっている。

ベーシックな「ユニクロ」は急回復を見せ6月以降は前年を上回って推移し、3〜5月の減少をカバーする形となっている。

レディースの「アダストリア」もまた回復が著しいものの、前年の水準には達していない。

ビジネスウェアを中心とした「青山商事」はより厳しい状況が9月まで続き、10月以降はやや持ち直したものの12月は再び2割減と大きく落ち込んだ。


自転車、スポーツ用品、シューズの各専門店をとりあげる。

「あさひ」は公共交通機関の回避や健康志向の高まりを受け、大きく売上を伸ばしている。

「ゼビオ」、「ABCマート」では、商品によって差が生じているものの、総体としてはやや売上を減らしている。

これらの会社では明確に表れなかったものの、スポーツやアウトドア関連の商品はコロナ禍において好調なところも多いと思われる。


対個人サービス業として、アミューズメントとスタジオ撮影をとりあげる。

「ラウンドワン」、「スタジオアリス」は、緊急事態宣言下でともに壊滅的ダメージを受けたが、その後、「ラウンドワン」は前年の約2割減なのに対し、「スタジオアリス」は概ね前年を上回る水準で推移している。

後者では繰越需要の顕在化が生じているものと思われる。


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