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執筆者の写真江川誠一

当たる天気予報の時代

現代の天気予報は高い確率で“当たる”。かなり前から特定の場所、日時の天気が数値情報を伴って提供される。天気予報を活用したビジネス展開や、イベントやレジャーの計画、災害への備え等が、10数年前と比べても格段にやりやすくなっている。それらを支える基盤として、気象衛星およびコンピュータの性能の飛躍的向上、気象予報士の新設と増加、利用者端末としてのスマホ等の普及などがあげられよう。

提供される情報としては、天気、気温、降水確率、風速、波の高さ等を基本に、季節によっては花粉、黄砂、PM2.5、紫外線、降雪量など。それらに加え、台風情報に降水量、高潮、雷に関する情報のほか、特別警報・警報・注意報および土砂災害警戒情報、竜巻注意情報、高温注意情報などが、異常気象時に提供されている。

これらのラインナップは今では普通になりつつあるが、ここ数年で新たに加わった概念や情報もある。人々が何かを判断し行動する際に活用できる材料は、以前よりも多くかつ具体的になっている。そしてよく“当たる”。

一方で、微に入り細を穿ち過ぎると、詳細な天気予報は複雑で難解な天気予報となる。元となる情報の多さや、提供される情報の多さは、必ずしも受け手側の理解度を高めることや何らかの判断・行動へとつながらない。提供者側にはわかりやすい情報提供が、利用者側には情報活用能力がそれぞれ問われている。

また、“当たる”予報は、逆説的な言い方だが提供者側の言い訳をどんどん追い詰める方向へと働く。従来は突発的な天気の変化や異常気象に直面した時に、避けられない災害として社会が許容せざるを得なかった範囲を狭めている。

さらには手のひらのスマホで、現在地の最新の天気予報を誰もが瞬時に知ることができる時代である。情報伝達手段の多様化と、スマホを使った情報のリアルタイム化およびプッシュ通知による必達化は、情報の出し手と受け手のそれぞれに変革を迫っている。

気象庁、自治体、企業、専門家、一般市民のそれぞれにおいて、気象リテラシーを高めていくことが求められよう。様々な場面にて、先入観にとらわれないこと、思考停止に陥らないこと、想像力を豊かにすることがますます求められているのではなかろうか。


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