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執筆者の写真江川誠一

破産寸前の会社で取締役経理部長だったあの頃 〜債権者集会から14年〜

数日前、以前に勤めていた会社から役員人事に関するお手紙が届いた。元同僚、いや戦友の一人が社長に就任したとの知らせ。

破産寸前の状況をなんとか打開しようと奔走する日々のなか、終電後の交差点で高級車の個人タクシーが来るまで何十分でも待つ人だった。そんな彼が、再建を果たし軌道に乗ったその会社の社長になるとは、実に感慨深い。

嬉しくなって衝動的に胡蝶蘭を送ろうかと思ったが、とりあえず4年前に書いたノンフィクションを見返す。ともに歩んだ14年前の出来事が鮮明に蘇ってくる。

 

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シ也井戸シ閏を超えたとの評あり(ウソ)

 

その会社は当時、債務超過に陥り民事再生手続にて会社再建を図ろうとしていた。

危機の中、私は支社の技術職から取締役経理部長となった。先の元同僚も同時に取締役総務部長となっていた。

まさに14年前の本日(3月22日)、民事再生手続の最大の山場である「債権者集会」に臨んでいた。

これは、借金先の銀行等に対し、

「本業では継続的に利益を出しているが投資事業で大きく失敗した。このままでは破産となるが現有資産は債務の1%に過ぎない。もし会社存続にご同意いただけるならその後の利益から返済資金を捻出し、債務の8%をお返しすることを約束する。また早期にスポンサーを選定し、繰上一括弁済を果たせるよう尽力する。なお、既存株は無価値、投資事業に関わった元社長等には損害賠償請求など、それぞれに相応の責任を取らせる」

という内容の「再生計画」の賛否を問うもの。

サイズを小さく置き換えると、

「借りた1万円をすぐ返せって言われても、今だと100円しか手持ちがない。もうちょっと待ってくれたら800円返すからそれでチャラにしてよ。その方がそっちもお得でしょ。」

という図々しいロジックを、裁判所の手続きの下で進めようとするもの。

事前の票読みで認可の見通しは立っていたものの、今でもあの空気感と達成感は忘れられない。

新しいことや何かを変えることは、この歳になっても相変わらず好きだ。

しかし、今、あの時のような状況に追い込まれたら、手をあげるだろうか。前を向けるだろうか。貫けるだろうか。

そんな話を肴に、会社再建をともにやり遂げた戦友たちと、またお酒を飲みに行きたいものだ。

新社長へは就任祝に何を送ろうかな。

タクシーの車種にこだわる彼のことだ。

何が好みなのか、どこがツボなのか未だによくわからない。

唯一つ言えること。それは胡蝶蘭ではない。

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