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執筆者の写真江川誠一

移動・交流★社会経済データからみたコロナ禍③

コロナ禍に伴い、出入国に制限がかかり、都道府県をまたぐ移動は自粛が求められている。

さらには、外出そのものにも不要不急のものについては控えるよう、国・都道府県・市区町村からアナウンスがなされている。

一方で、休業や営業制限(収容人数、時間等)が要請された業種もあるなか、交通事業者や宿泊事業者は、社会生活を維持するうえで必要な施設として、その対象外となっている。

このような状況のもと、移動・交流に関するデータを考察してみたい。


高速道路交通量は前年比12.1%の減少となった(NEXCO系)。

3月以降、継続して前年を下回っているが、特に最初の緊急事態宣言下の4,5月の落ち込みが大きく、この2ヶ月で34.5%減となっている。

一方で、対象外だった東京都がGoToトラベルに加わった10月以降は、5.5%減にとどまっている。


鉄道輸送量(旅客、人キロ)は前年比34.0%の減少となった。

減少幅は高速道路よりもかなり大きいが、月別の動向は高速道路と同様の傾向で、3,4月が56.8%減と大きく落ち込み、10〜12月が32.6%減とやや持ち直している。


鉄道輸送量(貨物、トンキロ)は前年比7.1%の減少となった。

経済活動の停滞が、鉄道による物流にも影響があったようである。


国内線旅客数(ANAグループ+JALグループ)は、前年比57.3%の減少となった。

4,5月は91.1%減と1割に満たない水準で、GoToトラベル開始の7月、その東京都民対象の10月から少しずつ戻しつつあるが、それでもようやく半分の水準になったに過ぎない。


国際線旅客数(ANAグループ+JALグループ)は、前年比80.4%の減少となった。

出入国制限が続くなか、4月以降は96.0%減と需要がほぼ蒸発という状態である。


延べ宿泊者数は前年比48.6%の減少となった。

最初の緊急事態宣言下での落ち込みは極めて激しく、4,5月は前年比82.9%減となっている。

GoToトラベルによる効果は、8月はあまりみられず9月にようやく表れ、10月の東京都民対象でやや持ち直した格好である。

それでも10〜12月は34.4%減であり、前年の3分の1という状況である。


延べ外国人宿泊者数は前年比84.4%の減少となった。

3月以降でみると、96.4%減となっており、訪日外国人観光客はほぼ壊滅したと言えよう。

インバウンド増加策は、我が国の成長戦略の大きな柱の一つとされていたが、この本格的な回復の絵は当面描けそうにない。


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